今日から華の高校生!
そう意気込みながら私こと、苺野 花乃(いちごの かのん)は、家の玄関を飛び出す

飛び出す…そう、既に家を出るはずだった時間から15分遅れている

「やばいやばい、初日から遅刻かも…!」

昨日入学式が終わり、帰り道に周りは何人かで帰っている人がいたものの、私は友達が出来ずに、ひとりとぼとぼとかえった

だから今日こそは早く学校に行って誰かに話しかけようと思っていたのに、!

そう思いながら私の朝の課題は友達作りから遅刻しないに切り替わる。

しばらく走ると校門が見えてきて、無事ゴール!
そこからはもう遅刻にならない安全地帯なので、乱れた髪を直しながら教室に向かう

「え、ねぇあの子!めちゃ可愛くない、!?」
「でも可愛いからって調子乗りそー笑」

やっぱり周りの人が私を指さしてなんか言ってる…気がする
私は小さい時からこういうことがよくあり、人見知りになって言っちゃったんだよね

その場から逃げるようにして昇降口に行き、学校に入る
確か1Aの教室は1年棟の1階1番奥…
あ、あった

目の前に見えている1Aとかかれた教室からざわざわとクラスメイトの声が聞こえてくる

遅刻ギリギリなので悪目立ちしないかなと後ろの扉から恐る恐る教室に入ると、ちょうど前の扉から先生が入ってきたらしく急ぎ自分の席に戻るクラスメイトに埋もれて、目立たず自分の席につけた。

同時に朝の友達作りは完全に詰んだ

やっぱ無理だったかぁ、
遅刻しなかったにしろ、人見知りの私は多分誰にも話しかけることが出来ないままホームルームを始める予感はしていたけれど

「じゃあホームルームを始めるぞー」

クラスメイトが全員席に着いたタイミングで思っていたより声が低かった担任の声が教室に響く

ここ苺園(いちごぞの)学園は、半寮制の私立高校で校則が緩く、制服が可愛い面から、3年連続入りたい高校ランキング1位を獲得しているという超有名私立高校

かく言う私は唯一学力受験がない作文推薦でぎりぎり合格出来ているので、熾烈な受験争いに参加することなく、入学できている。

でもその分、成績は最悪で既に昨日終わっている小実力テストも最下位だったという通知がスマホに来ていた。

つまり放課後呼び出しを食らっており、放課後に友達を作るという課題も破滅

昼休みにしか可能性がないため、そこに賭けるしかない

そんな今日のスケジュールを脳内で確認していると、ホームルームが終わり、すぐに午前の授業が始まった。