けど、あんな風に逃げられてしまって、元婚約者のオフィーリア様のことが、まだ好きなのだとしたら、ジョサイアは彼女に会って直接話し合うべきなのだわ。

 彼は真面目な性格だから、妻が居る身で会う訳にはいかないと考えているかもしれないけど……これは浮気には当たらないし、別に良いと思う。私たちはいずれ離婚するんだから、それが少々早まるだけだもの。

「今からシュラハトへ行くわ……なるべく、急いでくれないかしら」

 朝に出発した離宮から王都へと戻って来て、今はもう過ぎ昼だった。だとすると、三時間ほどかかるシュラハトに着くのは夕方近く。

 急ぎ会いたいけど、誰かを訪問するには、あまり常識的な時間とは言えない。

 今はオフィーリア様が、どういう待遇で何をしているのかは知らないけど、私は彼女と会ったこともないし、誰かに紹介してもらえる訳でもないから、早馬で先触れを出せるような関係性にない。

 けれど、今日彼女に会えなくても、次の機会に会えるように訪問だけはしておけば良い。

「かしこまりました。奥様」