自身の子どもは息子三人だけのアストリッド叔母様は、どうやら本人の希望としては娘が欲しかったらしく、唯一の姪の私のことをやたらと可愛がった。

 幼い頃から何でもない日なのに、良く可愛いドレスや異国の玩具を買ってくれたりしたものだった。

 ちなみに、今着ているこの可愛いドレスだって、彼女がそろそろ季節的に秋のドレスが要るわと、いそいそと行きつけのメゾンに連れて行ってくれて、購入してくれたデイドレス。

 とても悲しいことだけど、年頃の令嬢で求婚者が列をなすはずなのに誰一人として居ない私は、男性から貢がれるよりも、実の叔母に貢がれている金額の方が断然多いと思う。

 以前、社交界でも大きな騒ぎになってしまった婚約破棄事件があり、すっかり曰く付きになってしまった私は嫁き遅れの貴族令嬢末路のお決まりコース、職業婦人として生きていく準備をしていた。

 完全に一方的な理由での向こうからの婚約破棄だったけど、だとしても、婚約破棄されるような女が悪いんだと言われてしまうような、そんな理不尽な世の中だとしても今後も懸命に生きるしかない。