心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

「そうなの。だから、私は時間をこればかりに使う訳にはいかなくなって、少々計画に遅れが生じることは仕方ないけど、気にせずに進めてくれたら良いわ……絶対に売れるはずだもの」

 そもそも、私が見つけた異国でも、遠い国からやってきた商人が売っていた精油は異常に人気が高かった。果実の花から抽出されるので、香りが芳醇で格別だし、肌に塗ってもしっとりとして美容効果は高い。

 私はこれはヴィアメル王国で売り出せば、大流行するだろうと踏んでいる。

「レニエラ様。ですが……離婚なんて、驚きました」

 カルムは言葉を選ぶように、そう言った。私が婚約破棄された時には、ドラジェ伯爵家は本当にお葬式みたいになってしまったのだ。

 つまり、婚約破棄されてしまった貴族令嬢はそれだけ、次にまた求婚者の現れる確率は低くなってしまう。婚約破棄されるようなとんでもない女であるという決めつけもされてしまうし、単純に貴族同士揉めたくないという忖度もある。

 おまけに、私はその後、ケーキをぶつけられた元婚約者に嘘ばかりの噂を流された。そういう訳で、確率は限りなくゼロに近くなってしまったと言っても過言ではない。