心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

「役目上、仕方ない。だからこそ、側近は王家に近く血筋の良い高位貴族の息子だけしか居ないだろう? 余計なことを言うようなお喋りは、そもそも弾かれて側近になんてなれないよ。それに暗殺や誘拐の危険を防ぎ、近付く相手を見張る役目だって担っている。いかにも王族警護のためといった物々しい格好をした、野暮な護衛騎士とはまた別に、だよ」

「あ。そういえば、ジョサイアは軍で訓練も受けていたって、聞いたことがあるわ……」

 夜会で良く見るようなひょろりとした上品な貴族とはまったく違い、ジョサイアは鍛えられた身体をしていた。アメデオはそれを聞いて納得したのか、何度か頷いていた。

「それも、そういう役目の一環だろうね。表向きの理由なんか、どうでも良いんだよ。彼だけでなく、側近全員がある程度の戦闘は出来ると思う。何かあれば、彼らが王を守るためだ」

「そっか……そうよね。ジョサイアはアルベルト様とは貴族学校だって、一緒だったと聞いたから」