つまり、私にとってこのアメデオは、唯一常に全面的に味方をしてくれる、とっても可愛い弟なのだ。

「そうでしょう? だけど、ジョサイアは彼女の要求があまりにも度が過ぎてておかしかったということに、気がついていないみたいなの! ……どうしてなのかしら?」

 興味なさそうに眼鏡の真ん中を押して元の位置に戻していたアメデオは、興奮している姉を見てから、ひとつ息をついた。

「……うーん。義兄さん本人とはまだほとんど話したことがないし、どんな人なのかわからないけど……あくまでこれは仮定だけど、幼い頃からずっと付き合っていた元婚約者への対応が、彼にとってはずっと、女性への対応の正解だと思って居たんだと思う。ある意味では、モーベット侯爵は世間知らずなんだよ」

 縁談が纏まった翌日、ジョサイアはドラジェ家に来てくれたんだけど、弟アメデオとはまだ自己紹介挨拶程度しか言葉を交わしていない。結婚式後だってジョサイアは引き続いて多忙。確かに彼ら二人は、まだ面と向かってちゃんと話したことがないのだ。

「つまり、オフィーリア様ご本人が、ドレスを作る時は最低五着必要だと、我が儘を言ったりしたってこと?」