これでもかというほどに贅沢な食材を使用した料理が、少しだけコース料理で出てくるのだ。

「そうです。アルベルトが……すみません。僕は幼い頃から共に育った従兄弟なので、こうして気安く呼んでしまうんですが、決して国王である陛下を軽んじている訳ではないです」

 ヴェアメル王国の王族に対しては、狂信的な反応を見せる貴族も居る。ジョサイアはそれを心配したみたいだ。

 けど、私は治世者としての王族は敬愛はしてはいるけど、その敬愛は狂信的までいっていないので、大丈夫とばかりに何度か頷けば、彼は安心した表情になった。

 我が国の現在の王様は、アルベルト・ジョゼファ・ルシェッロ陛下。先王が突然病気に倒れて、成人してすぐに若くして王位に就くことになった王様で、前例にないくらいに、とてもお若い。

 ジョサイアは従兄弟にあたる彼の側近で、これまで常に一緒に居たというくらい親しいらしい。

 そんなアルベルト様は、私たちの結婚式にも出席はしていてくれたんだけど、式場では上段にある特別席に座り、帰る時も王族警備の問題で早々に帰られたので、あの時に一言も言葉を交わしていない。