心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

 式用の衣装からまだ着替えをしていないジョサイアは、祝いの席で新郎だからと祝い酒を相当飲まされていた。

 今はとろんとした色気ある目つきで、ベッドに腰掛けていた。窮屈だったのか黒い上着だけを脱いで、白いシャツの胸元もボタンを外し大きく広げていた。

 ……あら。いけない。容姿の整った男性の剥き出しの色気は、目の毒だわ。

 これは、利害の一致した契約結婚で、私とジョサイアは愛し合っている訳ではない。死ぬまで添い遂げる本当の夫ではないのだから、子どもが出来てもいけない。私は早々に自室へと引き上げた方が良さそう。

 結婚式でのお祝いムードの醒めやらぬ今では、あんなに多くの親しい方々からの祝福を貰って……と、ついつい罪悪感が湧いてしまうけど、本当に愛し合っていた二人だったとしても離婚する夫婦だって多いんだから、時間が経てば彼だって冷静になれるはず。

「ええ……レニエラ。君は本当に、美しかった……君用に一からドレスを作り直せなかったことは、大変不満だが」