とは言え、既に招待して予定を空けてくれる人を減らしてしまうことも難しく、マロウ伯爵家のごく近しい血縁だけが多少減って、ドラジェ伯爵家として親しくしている親戚などを招待し、そもそもの人数を大幅に増やすしかやりようがなかった。
それほど、次期宰相候補として目されているモーベット侯爵ジョサイアが、結婚式に呼ぶほどに親しいと思われたい人が多いのだと思う。
未来が確定している権力者には、早々から擦り寄っていたいものね。
なんなら、婚約破棄をされてもう結婚するのは絶望的だと思われていた私が、とても良い相手と結婚をすることが出来て、うちの親族まわりは、ほぼ全員が「本当に良かった」と嬉し涙を流す人も居るくらいに幸せそうな満足顔で帰って行った。
ほんっとうに、心配かけて、ごめんなさい。その上、一年後には、離婚してしまうんだけど。
「結婚式、お疲れさまでした。ジョサイア」
結婚初夜だということで、私は当然のように使用人たちに浴室で磨きあげられ、準備を済ませてから夫婦の主寝室へと入った。



