……僕にはそれが、わかっていた。あの男も本当の意味ではわかっていなく、それは世界で僕だけだったかもしれない。

「意地悪を言うのね! あの時のジョサイアは、私のことを少しも褒めてくれなかったから、気に入らなかったのかしらと心配になったんだよ」

「それは、前にも説明しただろう? それは、心にもない言葉はいくらでも出て来るけど、本当に思っている言葉はなかなか出て来ないものだ」

 本気で好きな女性には、少しでも失敗したくないと、慎重になってしまうのだ。

「ふふふ。そういうことにしておきましょう。では、本当はどう思って居たか……今なら教えて貰えます?」

「いくらでも……遠目で見ていた時より、格段に可愛いと思ったし……」

 いくら僕が慎重すぎる性格だとしても、既に彼女との関係が構築されて、お互いがどんな性格なのかを知っていれば、安心して褒められる。

 これから新婚旅行の日程は長く続くことになるが、僕が彼女への愛を語るにはまだ短いかもしれない。

【後書き】




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