私用にサイズ直しされた結婚式用の豪華な白いドレスは、最高級の素材が使われていて、派手過ぎずどこか古典的《クラシカル》なデザインも洗練されて美しく、本来着るはずの居なくなってしまった女性に代わって、新婦として私はそのドレスを着用した。

 おそらく一生に一度しか着ない結婚式用のドレスが、王族が着ていてもおかしくない、こんな最高級なドレスで良かったと素直に思った。

 細身な体型の彼女に合わせた式用ドレスを、王室のお針子室が急ピッチでサイズを直してくれたんだけど、本当に元々私用に作られたかのように、まるで生地が吸い付くような着心地だった。

 流石は国内で一番のお針子たちが集う、王室のお針子室。

 モーベット侯爵……いいえ。今では、晴れて書類上の私の夫となったジョサイアは、式まで時間がなく私用に作り直しすることが出来ないことを、いよいよ結婚式が始まろうという、その瞬間までずっと気にしていた。