「では、どうして私と未だに婚約継続しているなんて、両親に言い出したの? あまりにも、有り得なさすぎるわ。それに、お金で済むのなら私の夫が支払いたいと言っているの。私だって、もう貴方とのことを大事にはしたくないわ」

 あのジョサイアだって、オフィーリア様のことで、好奇の目に晒されるのは懲り懲りだと言っていた。

 私は大きくため息をつきつつ、何を思っているのか顔を顰めているショーンへ言った。

「レニエラが、モーベット侯爵と結婚していると聞いて、激しく動揺して……なんとか、抗議したいと考えて、あれは我慢が出来なかった。すまなかった。悪かったと今では思っているし、ドラジェ伯爵と夫人にも謝罪もするつもりだ」

「……私はもう既に、モーベット侯爵夫人なのよ。過去に婚約していたことがあったからと、貴方になんて構っている時間はないの。婚約は破棄が出来るけど、私たちの結婚は成立済で破棄も解消も出来ないんだから……悪いけど、もしお金で済むのなら、金額を言って欲しいわ」

「いいや……お金がいらない。どうかしていたんだ。わかってるよ……本当に、悪かった。とても反省しているんだ。レニエラ」