目的を果たし、それを父に知らせるためにドラジェ邸に急ぎ戻らねばと帰るアメデオを見送った私たちは、邸へ戻ろうと振り向いた。

「ジョサイア……ごめんなさい。こんなことになってしまうなんて」

 本当に、まさかだわ……私の元婚約者のショーンがあんなことを主張するなんて、夢にも思っていなかった。

「……いえ。大丈夫ですよ。レニエラは、このことをどう思いました?」

 落ち着いた口ぶりのジョサイアは、まるで妻の気持ちを確認するように聞いたので、私は素直な気持ちをすんなりと答えることが出来た。

「とても、迷惑ですわ。私はショーンを好きだった時期は確かにありましたが、彼に対して何ひとつ気持ちは残っておりません」

 私の言葉を聞いて、ジョサイアはホッと大きく息をついた。

 もしかして、何か不安に思っていた? 嘘でしょう!

 今の私は、ショーンがまだ私のことを好きだと土下座をしても、何ひとつ心を動かさないと思うわ。

 だって、好きな気持ちなんて、特に何もせずに永遠に続くはずがないもの。あんな別れ方をしていたら、なおさらよ。

「それを聞いて、安心しました。さっきレニエラに、色々と買ってきたので見ますか? 新婚の妻にひとつも贈り物も出来ずに、本当に申し訳なかった」

 私たち二人は先ほど使っていた応接室へ戻り、山とつまれた大量のプレゼントへと私は目に留めた。