「え? 何かあったんですか?」

 いつになく浮かれていた様子を見せていたジョサイアは、私たちが妙な雰囲気にあることを知り、スッと真面目な表情になり私の隣へと腰を落ち着けた。

「そうなの。私とアメデオは、ここでその話をしていたところなの。ジョサイア」

 ついさっきまで私も彼と同じように浮かれていたはずなのに、どこかの誰かさんのせいで頭が痛い。一年前の話で……しかも、当事者であるはずの私には、その間にショーンから何の連絡もなかった。

 それで婚約継続は、どう考えても話は通らないと思う。

 もう、嘘でしょう。本当に何が起こったか、信じられないんだけど。

「突然の訪問、申し訳ありません。モーベット侯爵。私は火急の事態のため、父の代理でこちらへ。実は本日、姉の元婚約者……いいえ。先方が主張するところを聞けば、未だ婚約は継続中だったらしいのですが、我が家と姉を訴えるそうです」

 席を立ち目上の貴族に対する礼をしたアメデオが困った表情で話し始めた時に、ジョサイアは当然だけど驚いていて、しかも戸惑っているようだ。

「すまない。いきなりで、理解が追いつかない……何の話なんだ?」