私は起きてからメイドに彼が居ないと確認してから、ドキドキそわそわ落ち着かない気分で時を過ごし、とにかく何かしようと昼には自分の農園に素敵な女性オフィーリア様に贈る精油を取りに来ていた。

 まだまだ、商品と言えるまでは遠い試作段階だけど、ねっとりとした甘い匂いが特徴で、それを嗅ぐだけでも精神的にも落ち着く特別な精油なのだ。

 あの時に身につけていたものだってセンスの良かったオフィーリア様に感謝の手紙を添えて贈れば、きっと喜んでくれるはず。

 他の香油などの配分が胆になるから、何種類か試してみて配合をきっちり決めてから、来年の花が咲く頃に商品化を見据えて量産する予定だ。

 ジョサイアは私のことを前から好きだったと言ってくれたけど、自分はどうなのだろうかと考えた時に、あんな告白をされてしまい、好きではないわと強がれるわけはない。

「レニエラ様。なんだか、今日はご機嫌で表情が明るいですね。何か良いことがありましたか?」

 酒として使うために、果汁の抽出作業をしているカルムは、近くでそれをぼうっと見ていた私に明るく声を掛けた。

「……ふっ……普通よ! 別に、何もないわ」