そして、別れの挨拶を済ませ、私たちに手を振ってくれるオフィーリア様に振り返し、言葉すくなに道を歩いて移動した。私がここまで使った馬車はもう帰してしまっているらしく、近くに停めてあったジョサイアが乗って来た馬車へと乗り込んだ。

 隣に座っているジョサイアは、いつになく緊張しているようで何も言わない。

 こうして黙っている彼は、整った横顔を見ていると、ため息が出てしまうくらいに素敵だし、黙って鑑賞するには、ちょうど良い男性なのかもしれない。

 けど、ジョサイアと結婚をして、ついさっき今までの何もかもを覆されるような真実を知ることになった私は、彼には聞きたいことがたくさんあった。

 そうよ。彼が何故ここに居るのかも、わからない。

 馬車がすべるように走り出した時に、ここで黙っている訳にはいかないと決意して切り出した。

「ジョサイアは、私と結婚を望んでくれていたから……叔母に私を紹介して欲しいと、頼んでくれたんですね」

 こちらを見たジョサイアは、私が先に話し出したことに、とても驚いた様子だった。

 初めて会った時も思ったけど、ジョサイアは私と話す時……いつも、緊張しているんだわ。

 だから、言葉を選んで話そうとしていたの?

 ……良くあるような社交辞令で、人を褒めること自体は簡単だと思う。私だってなんとも思っていない相手になら、別にそれが失敗したとしても、その後どう思われようが、どうでも良いと思うもの。