心の美しさが顔に現れる世界になった結果~義妹と皇太子がどうなったかって?~

「そういうことか!内部にいる人間は魔法が使えるということだな!攻撃魔法が得意な者は誰だ」
 殿下の言葉に、宰相息子が何人かの名前をあげた。
「今名前が挙がった者たちは、すぐに集まれ!扉を破壊して外に出るぞっ!」
 このやり取りを王宮の者たちが聞いていたようだ。
「抵抗するようです。食料が尽きて飢え死にするまで閉じ込めておくなどと悠長なことは言ってられないかもしれません」
「まずは結界だ。内側からの攻撃魔法を無効化する結界をすぐにはれ!」
「くそ、殺されてたまるか。いや、死んだってかまわない、広げてやる。あいつらも醜い姿になればいいんだ」
 殿下の言葉に、義妹が賛同した。
「そうね。醜い姿で生きていたくないと思っていたけど、確かに、私たちだけというのは不公平だわ!」
 義妹に殿下が笑いかけた。
「そうだろう。それに、あいつらは、俺たちよりもきっとひどい姿になるさ。そうすれば、俺たちはまだマシな部類ってことになる」
 ゴキ殿下がまだマシに見えるほどの姿がとても想像できなかったけれど、アンドレア様がぼそりとつぶやいた。
「ナメクジとかかな。あれは僕はもう絶対に受け入れられない」
 ……なるほど。
 なんだか、別な方向で意気投合している義妹と殿下。案外お似合いなのではと思わなくもなくなってきたところで、アンドレア様が声をあげた。
「お話があります、陛下」
「なんだ、アンドレア……ん?お前は薬を浴びなかったのか?」
 何を言っているのだろう。
 心の美しさが顔に現れる薬なのだから、アンドレア様の心が容姿を変化させるほど美しくも醜くもなかったというそれだけなのに。……いうなれば、普通?平凡?凡庸?……たぶん私の心もそうなのだろう。
「いいえ」
「じゃあ、呪いを、薬の効果を解いたというのか?」
 陛下の声に、会場中がざわつく。
 だったら自分も解いてくれと、生徒たちが殺到する前に、アンドレア様が声を張り上げた。
「いいえ。僕も薬の影響かにあります」
 がっかりとした生徒たち。
 王宮の人たちも眉を顰める。期待が一瞬で裏切られたからだろうか。
「すまんが命乞いされたとして、受け入れることはできぬ」
 そして、陛下が冷たい声でアンドレア様に宣言した。
「陛下……残念ですが、僕たちを隔離したからといって問題は解決しないのはお気づきですか?」
 アンドレア様の言葉に、殿下が叫んだ。