心の美しさが顔に現れる世界になった結果~義妹と皇太子がどうなったかって?~

「そうだね、こうして人々が罵り合い、本音を隠さずに好き放題し始めたら、争いばかりで国はすぐに破滅するだろう……。まだ、講堂は魔法封じがされているからこれだけで済んでいると思うけれど……」
 そうだ。確かに。
 魔法が得意な者が、怒りに任せて好き勝手すればすぐに街の1つや2つは崩壊する。
「……心なんて見えない方がいいのかもしれないね」
 アンドレア様がぼそりとつぶやく。
 そうかもしれない。
 でも、ほんのちょっとだけ、義妹の心が醜いというのが皆に知れ渡ったことに喜びを感じてしまった。……こんな心を持っているから、私も美しくはなれないんだろう。
 ……まだ、元のまま、あまり醜くなってないのが救いなのだろうか。
 それとも、思っているだけで、誰かを傷つけるような行動をしてきたわけじゃないからこれで済んでいるのか。
  修羅の国のような講堂内。
 止める者もいない。
 そして、王宮を映している鏡では話し合いが紛糾していた。
「どうなさるおつもりで?第二王子も講堂に。王女しかいなければあとを継ぐ者がおりません」
「継承権を持っていたのは陛下の弟君ですが、隣国に婿入りしております。呼び戻しますか?それともその息子を養子に迎えますか?」
 やはり、女に継がせる話は出ないのね。
「はっ、あいつに継がせるくらいならこんな国滅ぼしてやるわ」
 陛下の不穏な言葉に、王宮の者たちは息をのむ。
「問題ない。探せ。城をやめていった女の誰かが産んでるだろう、一人くらい落胤ってやつがな。そうじゃなきゃ、若い側室を用意しろ。子など増やせばよい!」
 もしかすると、王宮の様子が、こちらに筒抜けになっているというのは分かっていないのだろうか。
 ひどい話し合いが続いている。
 確か、陛下の弟は優秀で、いつも比較されていた陛下は弟をよく思っていなかったという話を耳にしたことがある。国内にとどめていてはいつ、王位を奪われるかと隣国に追い出したとか。
 ……弟を憎むあまり、国が滅んでもいいなどと……。
 アンドレア様の顔を見る。
 実の父親のこんな言葉を聞かされてどう思っているのか。
「反面教師も極まれりだなぁ。醜い」
 アンドレア様が自嘲気味に笑う。
 反面教師……?
「僕は、一人だけを愛し続けるよ。もし僕が王になったら側室を進められても断り続け、逆に家臣に心配させるタイプだろうね」