ーー考えるだけで、落ち着かない。
ーーもっと近づきたい、と欲張ってしまう。
これがーー……、“好き”っていう感情なんだ……。
「百合、どうしたの? もう、授業終わったよ?」
「へ? あ、そ、そうだねっ……!!」
気付けば、クラスのみんなが、帰り支度をしている。
私は慌てて、ページをめくっていた手を止め、教科書を鞄にしまい込む。
昨日、真雪くんに助けられたのが、嬉しくて彼に“恋”してしまっただなんて。
恥ずかしくて、私はまだ親友の亜萌ちゃんにさえ、伝えることができていない。
それにーー……、仮に私が“告白”したとしても、真雪くんの周りには素敵な女の子が沢山いる。
釣り合うわけが無いから、この思いは心にしまっておこう。
あくまで、真雪くんは私が男慣れする為の、協力者なんだから。
「百合、どこか具合でも悪いの?」
「わ、私は全然平気! いつも通り!」
私は、テンパの髪を手でかきあげてから、ニコッと笑う。
すると、亜萌ちゃんが今度は、眉をひそめて小声でこう言った。

