キリッとした眉毛で怒る男の顔は……意外とカッコいい。


口煩そうだけど、正直好みの顔だ。

だからといって、性格は絶対に合わなさそうだなって一瞬で分かってしまった私は、ここから去ろうと勢い良く立ち上がるけど。

先程捻ったかもしれない内くるぶしからキーンとした痛みが走って、膝カックンでもされたかの様にまた倒れそうになる。


そんな私の手を引いて、胸板に寄せた男が体を支えてくれた。

これまた意外だ。



「あ、ありがとうございます……」


「立ち上がってフラフラとは、そんな軟弱な体でどうする。」


「なっ……軟弱って!
 こう見えて毎日生徒指導の先生と追いかけっこしてるから、足には自信あるもん!」


「……なぜ、先生と追いかけっこしてるんだ?」


「スカートの丈が短いって言われて……直す気なんてないのに、しつこいの。」


「どうして直さない」


「……可愛いから?」


「やはり卑猥な思想をお持ちの様だな。 
 女性が生足を晒すなど、先生が許さないのも無理はない。
 俺も反対だ。」


「はじめて会ったのに、よくそんなひどい事言えるね。
 私のパンツ見たくせに」


「下着と言えと言っている。
 誤解があるようだが、見たくて見たわけではないし、見たいとも思わない。」



「……」