「おやつよ。おてて洗って」
「はーい」
洗面所にぱたぱたと走っていく子どもたちの後からついていき、ふたりが台の上に上り洗面所で手を洗うのを助ける。
「はい。よくできました」
今日のおやつはサツマイモを入れたお手軽な蒸しパンだ。小松菜のピューレを混ぜた蒸しパンはきれいな緑色で、顔を出した黄色いサツマイモとの彩りが綺麗に仕上がった。
子どもたちも「わあー」と瞳を輝かせる。
おぼつかない仕草で、軽く温めた牛乳を飲みながら、蒸しパンを頬張るふたりを見ていると、おのずと頬が上がってくる。
ほっこりとした幸せなひとときだ。
「おいしい?」
「おいしー」と同時にふたつの声が響く。
ふとカレンダーが目に留まった。
紗空のパーティーがあった日に丸印がついている。あれから四日が経った。
航輝さんからはなんの音沙汰もない。
『それなら今後、気兼ねなく誘えるね』
なんて言ったのに……。
彼は国際線のパイロットだ。ヨーロッパ路線なのだから、発ってしまうと三日や四日は帰ってこない。