鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。

「あの声のおかげで、あそこで競り勝てたと思ってる」


 それって……。


「これからも、岩瀬先輩の応援、してもいいってことですか?」

「もちろんだ。これからも頼む」


 それって……いい方向に受け取ってもいい……ですよね?


「はいっ! これからも……和樹先輩のこと、精いっぱい応援させていただきます!」


 ヤバい。口元がゆるゆるで、こんな顔、先輩に見せられないよ。

 腕で口元を隠すわたしを見下ろしている和樹先輩も、心なしか表情が緩んでいるような気がする。


 ……そうだ。あの男の子と岩瀬先輩が同一人物だったっていうことは、わたし、『ふしだらな女』じゃなかったんだ!

 最初から、わたしは岩瀬先輩一筋だったんだ。

 わたしのヒーローで……わたしだけのアイドル。


「それじゃあ……そろそろ帰るか」


 それって、それって……『一緒に帰ろう』ってことで、いいんですよね?


「はいっ、お供させていただきますっ」

「お供ってなんだ」

 ふっと笑い声を漏らすと、校門に向かって歩きだす和樹先輩。