鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。

 そっか。わたしでも、誰かの役に立てたんだ。

 あのわたしを助けてくれた男の子……ううん、岩瀬先輩は、ずっとわたしのヒーローで。

 そんな岩瀬先輩に、そんなふうに言ってもらえる日が来るなんて、思ってもみなかった。

 すっごくうれしい。うれしいけど……。


「わたし…………本当は、『サッカー部のみなさん』じゃなくて、岩瀬先輩の応援がしたいんです」

 ぽろりと本音がこぼれ落ちる。


 ……って、ちょっと待って。

 わたし、なんでこんなこと言っちゃってるの⁉

 信じられない。

 こんなの、告白しちゃったのと同じじゃない!


 わたしの言葉に驚いた顔をした岩瀬先輩が、ふっと口元を緩める。

「俺の名前を呼ぶ……菜々子の声、しっかり聞こえてた」


 岩瀬、先輩……?