鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。

***


「隼人先輩、これ、受け取ってください!」

「隼人、一緒に写真撮ろっ」

「隼人くん、今日も超カッコよかったよ~」

 解散になるのを待ちわびていた女子集団が、三谷先輩のところへとわっと押し寄せる。

「はいはい、みんな、順番ねー」

 そんな状況にも、慣れた様子で対応する三谷先輩。


 ふわぁ、すごい……。

 なんていうか、ヒーローっていうより、アイドルみたい。


 ……って、三谷先輩のことはいいんだって。

 それよりも、岩瀬先輩だよ。

 えーっと、岩瀬先輩は……。


 キョロキョロあたりをいくら見回しても、どこにも姿が見当たらない。


 ひょっとして、気付かないうちにもう帰っちゃったのかなあ。

 岩瀬先輩に、『おめでとうございます』って伝えたかったのに……。


 小さくため息を吐き、校門に向かって歩き出そうとしたとき。