鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。


 土曜日、試合当日の空は快晴。

 まだ四月だというのに、夏を予感させる強い陽射しが、朝から照り付けている。


「ごめん、ナナ。土曜はうちも練習試合だからムリだわ」


 テニス部の里沙には、あっさり断られてしまって。

 一人ぼっちで応援って、かなり心細いんだけど……。


 なんてものすごく不安だったんだけど、学校に着いてすぐにわかった。

 そんな心配、全然必要なかったって。

 だって、ものすごい数の観客がいたんだもん!

 うちの学校もだけど、相手の学校も負けていない。


「きゃーっ! 隼人くん、がんばれーっ!」

「隼人くん、ファイトー!」

 いわゆるエースナンバーの10番を付けた三谷先輩への大きな声援が、グラウンドにこだまする。


 岩瀬先輩は……いたっ!


 ちょうどボールを相手チームに奪われ、攻撃に備え、ディフェンス陣で声を掛け合っているところだ。

 ドリブルで陣地に侵入してきた相手チームの選手が、パスを回しつつゴールに近付いていく。

 あぁっ、また一人抜かれた……!

 残るは2番を付けた岩瀬先輩と、ゴールキーパーのみ。


 がんばれ、がんばれ……。


 両手をぎゅっと握りしめ、ボールの行方を必死に見守る。


「あ……!」