鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。

「そんで、試合の応援は? 来れそう?」

「あの……わたしなんかが行ってもいいんでしょうか?」

「もちろん。今度の相手、ガチで強いとこだから、応援の声が少しでもたくさんほしいんだよね。その方が、オレらも気合入るからさ。な、和樹」

「ああ。……そうだな。隼人は特にな」

「そそ。オレって、声援を力にするタイプだからさ。それに、こいつも『ぜひ来てくれ』ってさ」

「おい。そんなこと言ってないだろ。勝手に捏造するな」

「そんじゃ、土曜の九時半、うちの学校のグラウンドで待ってるから」

 岩瀬先輩の苦情をものともせず、三谷先輩が愛嬌いっぱいの笑みを浮かべる。

「と、友だちにも聞いてみます。あの……おつかれさまでした!」

 ぺこっと頭を下げると、わたしは教室をあとにした。


 早足で廊下を進みながら、ドクドクとうるさい心臓のあたりをきゅっと押さえる。

 岩瀬先輩の試合……そんなの、見に行きたいに決まってるよ。

 里沙、誘ったら一緒に行ってくれるかなあ。

 うわぁ~、楽しみすぎるんだけど。