華乃音すごいなぁ……、なんてぼんやりと眺めていると。
バチッと、神谷くんと目があってしまう。
私は慌てて逸らすけど、何故か、神谷くんはこっちをじーっと見ている。
「なぁ、お前」
「へ……!?」
「お前、メガネかけてるだろ。目ぇ悪いんじゃないのか?」
「え、あ……、し、視力は問題ないよ!! ただ、ちょっと事情があって……」
「は? 事情?」
「えーっと、と、とにかく私はメガネが手放せないの! それだけ!」
私は強引に会話を、終了させると鞄からBLマンガを取り出して読み始めた。
「何、読んでんの?」
ズイッと神谷くんが机から身を乗り出して、マンガの中を覗こうとする。
「ちょっ!? だ、ダメだからっ!!」
「いいだろ、ちょっとぐらい。あ、もしかして人には見せられないようなマンガ?」
「ちがーう!! これは今や大人気のBL本で……!!」
私はそう言いかけて、ハッとする。
神谷くんはポカンとしていた。

