先生の言葉で、クラスのみんなは渋々、席替えを始めた。
私もクラスメイトと同じように、自分の机を移動しにかかる。
私の席は今度は、一番後ろの列。
奇跡的にも、また華乃音と近い場所なのは、ラッキーだなと嬉しく思った。
でも、ちょっと不安もあって……。
何故ならーー、私の右隣りが全く喋ったことのない男の子だったから。
私は自分の机を移動し終えて、ドキドキしながら椅子に座る。
右をチラリ、と見ると気だるそうに座っている男の子、神谷 律希《カミヤ リツキ》くんがそこにいた。
黒髪に、耳にはピアス。
神谷くんは、学校1モテる、超絶クールなイケメンである。
だけど、ウワサによると、口が悪くて女嫌いで、触れるのさえも嫌がるとか。
うう……、苦手なタイプだ。
私が石のように固まっているとーー。
神谷くんから見て、右の席になった華乃音が、上目づかいで「よろしくね」と言っている。

