待ちに待った放課後のチャイムが鳴る。
「終わった~!」、「今日、どこ行く~?」などの言葉が賑やかに飛び交う中、私はひとり緊張気味だった。
机が右2つ隣りの、華乃音を見れば、帰り支度を済ませてさっさと教室を出て行く。
華乃音の背中をそっと見送ったあと、私は意を決して神谷くんに声をかけた。
「か、神谷くん、ちょっといい?」
「……なに」
自分の机に座って片手にスマホをいじくっている神谷くんは、明らかに不機嫌そうだ。
返事はしてくれたものの、視線はこちらに合わせてくれない。
そりゃそうだ。なにせ2週間以上も私が言葉を交わそうとしなかったから。
でも、怯んでせっかくの勇気を無駄にしたくない。
「私、神谷くんに伝えたいことがあるの。屋上で待ってるから!!」
返答はなかったけどーー。
神谷くんの肩がほんの少しだけ、ピク、と動くのを私は気づいていた。
私は鞄を掴んで、急いで先に屋上へ猛ダッシュする。

