「佳乃愛さんって、いっつもマンガ読んでるよね。好きなの?」



「う、え? 私は、ただのオタクなだけだから……」



「実は、俺もマンガ好きなんだ」



「……へ?」



奥森くんは、手に持っていた少年向けのマンガ雑誌の表紙を、見えるように目の前に出す。



「あっ! それって“月間セイバー“!?」



「うん。丁度、さっきコンビニで買ったんだ。佳乃愛さんも良かったらあとで読む?」



「えっ!? いいの!? ありがと~!」



私が目をキラキラ輝かせているとーー、奥森くんはちょっと照れたように小さく笑った。



だけど、その隣にいる華乃音が不満そうにしていることに私は全く気が付かなかったんだ。



ーー私、華乃音、奥森くん、の3人で桜の絨毯の上を歩いて学校へ向かう。



こんな地味っ子の私が、まさか友達が出来るなんて!



マンガオタクでよかったな~、と浮かれ気味のまま私は教室に辿りついた。