私は慌てて首を左右に振って。
「謝るのはこっちの方だよ……! ちょっと考え事してて……、こちらこそごめんね……っ!」
「そう?」
「あっ! “月間セイバー”読み終わったから、今ここで返すねっ! ありがとう奥森くん!」
私は鞄からマンガ雑誌を取り出すと、奥森くんに笑顔で返したーー、つもりだったんだけど……。
「佳乃愛さん、すごく顔色悪いよ……?」
「えっ……!?」
「やっぱり、なんかあった……? 妹さんと」
「………」
私は否定できず、思わず顔を俯かせる。
「ねぇ、佳乃愛さん、もしよかったら屋上でお昼食べない?」
「へ……? 奥森くんと……?」
「あ、俺とじゃ嫌?」
「そ、そんなことないよっ! じゃ、じゃあ一緒に行こう……っ!」
私はおもむろに席を立ち、まだ食べてないお弁当箱の包みを持って、奥森くんと教室をあとにした。