華乃音の笑顔が増えて、姉として喜ばしいはずーー……、なのに。
心に雨雲がかかったみたいに、どんよりとしていて、気分がちっともあがらない。
なんとなく体が重いし。
予習してきたはずの問題の解き方がわからなかったり、授業にも集中できない。
この間の物理のテストなんかも。
問題すべてを解き終わってから答案用紙を見返すと、自分の名前を書き忘れてることに気づいたり。
家でも、夕ご飯を食べ終えたあと、お皿を流し台に持っていこうとしたら、手を滑らせて割ってしまった。
何もかも上手くいかない。
「はぁ……」
「佳乃愛さん」
「わあっ!!? 奥森くん、いつの間に……っ!!?」
私の机の正面に立っていたのは、心配そうな表情の奥森くん。
「声かけてたんだけど、佳乃愛さんなかなか気づいてくれなくて……、ごめん、びっくりしたよね?」

