午前中の授業が終わったあと。
「ねぇ、神谷くん、ここの問題がわからないんだけど~」
「ん? ああ、そこはな……」
「ねぇ、神谷くん、いっしょにお昼食べよ~」
「ん? ああ、別にいいけど」
つい先日まで華乃音に『殺す』とか言っていた、神谷くんの態度の豹変ぶりに皆が驚いていた。
私を抜いたクラス全員が、2人を見てヒソヒソと話をしている。
「おいおい、どういうことだよ。神谷って、華乃音サンのこと嫌がってたはずだろ?」
「やっぱり、地味な姉より、妹の方がよくて寝返ったんだろ」
神谷くんと喋らなくなって2週間経った頃。
神谷くんと、華乃音のウワサは、初めは、教室内だけにとどまっていた。
けど最近では、“美男美女のカップル”として、学校のみんなに知れ渡っている。
一日中2人に関するウワサが、飛び交っている為、常に胸が痛くて仕方がない私。
それに対して、華乃音は好きな人である神谷くんと話せて、毎日嬉しそうだ。