ある日。
私は寝坊してしまい、急いで教室に続く階段を、急いでのぼっていたときのこと。
上級生らしき人たちが、お喋りしながら、逆方向から降りてきた。
早くしなきゃ、という気持ちでいっぱいだった私。
当然、他人が話している内容なんかいつもは耳に入らないはずだったのにーー、今日は違った。
「ねぇー、美男美女だったよね! さっきのカップル!!」
「そうだよね~! 私もあんなイケメン欲しい~!」
女子生徒たちが私の横を通り過ぎたあとも、ワードが私の頭から離れなかった。
ーー『美男美女』、『カップル』。
このまま、神谷くんと華乃音が仲良くなれば、さっきみたいにウワサされるのかな。
そう考えると自分の胸が、なぜかチクチクと痛みだした。
私は頭をブンブンと振って、思わず止まってしまった足を動かす。
しかし、教室までもう少しのところで、私は疑うような光景を目の当たりにしてしまう。
廊下の隅で、抱きしめあっている華乃音と神谷くんの姿を。

