「んー………」
神谷くんが声を漏らしながら、モゾモゾと頭と腕を動かし始める。
でも、私は何もしない。
華乃音と約束したから。
すると、私と同じく神谷くんの様子に気づいた華乃音は、猫なで声でこう言った。
「神谷くーん、もうそろそろ起きないと、先生来ちゃうよぉ~?」
「んー………、あと少し」
子供のように、寝ぼけながら、華乃音に駄々をこねる神谷くん。
「もうっ、神谷くんたら、甘え上手なんだから~♪」
華乃音が、神谷くんのサラサラの黒髪を撫でようと手を伸ばしたーー寸前。
パチリと、切れ長の目を開けた神谷くん。
「ーーおい、桜崎華乃音。馴れ馴れしく俺にさわんじゃねぇ……! 殺されたいのかっ……!?」
怒りと殺気を混ぜた、声色に思わず教室内がシーンと静寂に包まれる。
華乃音は、恐怖で肩を震わせて、今にも泣きだしそうだ。
「ちょ、ちょっと! “殺す”なんて言葉、使っちゃダメだよ……!!」
私は思わず、神谷くんを注意する。

