学校全体に「おはよ~」と言う声が飛び交う中。



私は、もうお決まりになっている華乃音と教室に登校した。



まだ私は心の準備が不完全だったんだけどーー。



案の定、神谷くんは既に来ていて、自分の机に顔を突っ伏して寝ていた。



神谷くんの寝顔を女子たちは遠目に見ながら、「キレイ」「かわいい」と言ってメロメロなご様子だ。



でも、私が今立っている角度からは、神谷くんがどんな顔をしているのかわからない。



私は、彼を起こさないようにそっと、1番後ろの列の神谷くんの隣の席に着く。



鞄を机の上に乗せて、初めて横から、神谷くんにチラリと目をやるとーー。



いつも超絶クールな表情をしてる神谷くんとはまるで別人で。



幼さが残る少年のようなあどけない寝顔に思わず、ドキンと大きく心臓が跳ねた。



本当だ、かわいい……って、何ドキドキしてるの私っ!!?



落ち着け、落ち着け、落ち着け……。



ハッとしてから、頭の中で何度も呪文のように唱える私。