おもむろに口を開いたのは、もちろん華乃音。
「お姉ちゃんはもう二度と神谷くんに近づかないでね? あと話すのも禁止」
「……えっ!? で、でも……」
「なにを、血迷っているの? お姉ちゃんは男が嫌いなんだから私の言っていることは間違っていないと思うけど?」
華乃音の言葉は、正しい。
私が男嫌いなのも、誰よりもわかっている。
でも、何故かーー、華乃音に縛られている感じもするのは、気のせい……?
私は頭をフルフルと振ってから。
「ーーわかった、もう神谷くんとは関わらない! 話したり……、キスもしない」
すると、聞いた華乃音は口の右端を上げて。
「それならよかった♪ お姉ちゃんには“男”なんて必要ないものだもんね♪」
ーー“必要ないもの”。
「う、うん。そうだね。あはは……」
そうだ。私は男嫌いで地味子。
神谷くんに近づく理由なんてーー、どこにもない。