それがーー、私が男を恐れるようになった理由。
本当は、高校は女子高を希望していたのだけれど、電車で片道2時間かかる。
それで、通うのが困難だと判断し、諦めざるをえなかった。
近くの共学の高校に進学することに、大きな不安を覚えていた私。
その様子を見て心配した華乃音が、静かに差し出してきたのはーー、ヘアゴムと丸メガネ。
『お姉ちゃん、これなら安心して、高校へ行けるよ!!』
『……へ?』
最初は意味がよく分からなかったし、華乃音以外の家族は私の姿を見て大変驚いていた。
高校で地味子デビューした私。
華乃音の言う通り、この姿をしていれば、男の子はたちまち離れていった。
だから、私は華乃音に感謝している。
代わりに、私も華乃音の力になりたいと思っていたーー。
けど……。
華乃音を怒らせて、私は何もできないちっぽけな人間だ。
自分の情けなさに思わず、目からポロッと雫がこぼれ落ちる。

