シン、と部屋が静かになった。
心臓が、ドクンドクンと嫌な音をたてて、背中は冷や汗がつたう。
「な、何言ってるの~……! 私、神谷くんと、そんなことするわけないに決まってるじゃん~……!」
私は、華乃音の周りをオロオロしながら、なんとか彼女の機嫌がよくなるように努めた。
けど華乃音は、顔をバッと上げて私を睨みつける。
「お姉ちゃんの嘘つき!!」
「へっ!?」
「私、あのあと気になって、お姉ちゃんを探しに行ったの。そしたら屋上で神谷くんと……、しているとこ見ちゃったの」
「……」
「しかも、告白までされていたよね。お姉ちゃん、どんな手を使って誘惑したの?」
「……」
すべて、華乃音には見透かされているーー。
私は、ただ立ちつくし、黙って俯くことしか出来なかった。
「お姉ちゃん、私の恋を応援するとか言ってたくせに。この裏切り者!!」
「……!!?」
「わかってるの? 私がお姉ちゃんの為を思って、地味な恰好を提案したこと」