私と華乃音は、エプロン姿のお母さんに見送られながら家を出る。
今は、4月の春真っ盛りな季節。
見上げれば、ピンクの桜の木々が、はらはらと花弁を落とす様子が視界にうつった。
「ふんふんふ~ん♪」
「お姉ちゃん、なんだかいつにも増してご機嫌だね。なんか、いい事でもあった?」
不思議そうに聞いてくる華乃音に対し、私は鞄から一冊のマンガ本を取り出した。
「ばばーん! 新刊買ったの!! しかも人生初のBLマンガ!!」
「び、びーえる? お姉ちゃんとうとう、腐女子にでもなっちゃったの?」
ちょっと引き気味に言う妹。
「あれっ? 華乃音知らないの? コレ、3巻目にして70万部を超える今や大注目のマンガだよ?」
「知らないよ~、もう、お姉ちゃんはほんとにマンガ好きなんだから~」
ぺちゃくちゃと華乃音とそんな会話を繰り広げていると。