「そ、そうか? なら別にいいんだが」
先生はくるっと後ろを向く。
そして、黒板にチョークで、説明文のようなものを書き始めた。
私は先生の様子にホッとして、胸をなで下ろす。
「ここ、重要だからな~、ちゃんと覚えとけよ~」
その言葉に私はハッとして、慌ててノートにシャーペンで書き込んだ。
そうだ、今はぼんやりしている時間じゃない。
私にとって、学校生活は友達も大切だけれど、学生の本文は勉強だ。
私は自慢じゃないけれど、勉強が苦手。
しっかりした妹の華乃音の方が、頭の回転が速くて利口。
私は気合を入れなおすために、自分の両頬を叩いて、気合を入れなおした。
すべての授業が終了した放課後。
「華乃音、いっしょに帰ろ~」
私は、いつも通りに華乃音に声をかけたつもりだったんだけど……。
「……」
「どうしたの? 華乃音」
華乃音は机に座って頬杖をついたまま、ぼうっとしている。