1時限目の、数学の授業中。
担当の先生が黒板の前にたち、教科書に書かれている公式の説明をしている。
だけど、私は、ぽーっとしているせいで、ちっとも耳にはいらない。
だってだって!!
あのイケメンな神谷くんに、告白されちゃうなんて……。
しかも、強引に、私の大切な唇まで……っ!!
私がチラリと見ると、何事もなかったように、神谷くんはいつも通り授業に集中している。
“好きだよ……、佳乃愛の全部俺にちょーだい?”
思わずその言葉を思い出して、ボンッ! と顔が赤くなる私。
私は、地味子なのに……。
それに、男の子は苦手なはずなのに……。
一体どうしちゃったんだろうーー。
悶々と考えながら俯いていると。
「桜崎、どーした? 具合でも悪いのか?」
数学の男の先生が、私を見るな否やそう言ってきた。
クラスみんなの視線が私に注がれる。
「い、いえっ! 体調は至って問題ありません!!」