「だから、今日からは、神谷くんのこと本気で狙おうと思って」
「へ~、そうなんだ!」
「……お姉ちゃん、応援してくれる?」
「もっちろんだよ! 華乃音はかわいいし、神谷くんとお似合いだと思うな!」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
華乃音は嬉しそうに笑って、ぎゅーっと私の腕に抱きつき、しばらく離れなかった。
自分たちの教室に辿りついて、私と華乃音は、それぞれ席につく。
隣の神谷くんの机を見ると、からっぽで、まだ来てないみたい。
「桜崎さ……じゃなかった。佳乃愛さん、おはよう」
奥森くんがスッと私に近づいて、挨拶してきた。
「あ! おはよう、奥森くん!!」
「その……、“月間セイバー”俺、読み終わったから。もしよかったら、今貸すよ」
「本当!? ありがとー!」
私が“月間セイバー”を受け取り、ルンルン気分でいると。
「あの……、佳乃愛さんって彼氏とか……いるの?」
遠慮がちに、奥森くんがそう聞いてきた。
「へ……?」