久しぶりに晴れた、気持ちのいい朝。



「お姉ちゃんまだ~?」



既に靴を履いた双子の妹、華乃音《カノン》は私にそう言って、退屈そうに玄関先に腰を下ろし髪の先をいじくっている。



「ごめん、ごめん。もうちょっと待って~」



私、桜崎 佳乃愛《サクラサキ カノア》、高校1年、16歳。



洗面所の鏡の前でただいま奮闘している最中だ。



腰まで伸びた黒髪ロングを急いで編み込んで、両方の耳の後ろにそれぞれ三つ編みを垂らす。



セーラー服のスカートは、かなりの膝下丈で、白いスクールソックスがやっと見える程度。



最後に丸メガネをかけてーー、はい“地味子”の完成!



鞄をもってパタパタと足音を鳴らし、華乃音の元へと急ぐ。



「終わったよ~! お待たせ華乃音!!」



「はー……、月曜日から遅刻なんてしたら、先生から叱られちゃうんだかんね」



不機嫌そうに言われて、私は「あはは……」と苦笑いするしかできなかった。