「緊張してないか?」 数人と挨拶をした頃、私の腰に手を当て、太陽が私の様子を窺ってくれた。 「うん、大丈夫」 本音は、少しだけ慣れないピンヒールで踵が痛くなってきたところだけど。 「なにか飲むか?」 「ううん」 「うそ。疲れた顔してるぞ。――すいません」 私の嘘をあっさり見破り、ボーイの人を呼び止めて飲み物の入ったグラスをもらってくれる太陽。 そんなスマートな立ち振る舞いに、太陽が大人になったことを実感してしまう。 将来、太陽の本物の婚約者になる人は幸せだなあって。