「ねぇ桜ちゃん、ちょっと相談があるんだけど」

「どうしたの?」


とある日の休み時間。



「鈴原くんにその…お弁当を作ってきても迷惑じゃないかな…?」


たまにお昼を一緒にするんだけど、やっぱりいつも購買のパンを食べている鈴原くん。

何か作ってきたいなぁと思ってから、迷惑じゃないかなと勝手に悩んで数日経ってしまった。



「めっちゃいいやん!悠、絶対喜ぶでー!!」

「そうかな!?でも、鈴原くんパン派でご飯はあんまりとか?」

「いや、それはないよ。まぁ悠の所両親共働きで忙しいから購買で買ってるんやろなぁ」

「そうなんだ」



そう言えば私、鈴原くんの事何も知らない。
ご両親の事もだけど、兄弟とかいるのかな?
てか、誕生日はいつ?

この前、血液型をやっと知っただけ。



ずーーーん。。
何も知らない自分にへこむ。



「作ってきてあげなよ♪サプライズで!」

「うん!桜ちゃん、ありがとう」







ということで



帰り道。
今日は鈴原くんと一緒に帰る。



好きな食べ物をまずは聞くんだ!!!



「鈴原くん」

「ん?」

あれ?いきなり好きな食べ物とか聞いたら変かな!?


本当の彼女じゃないのに厚かましいのかな!?


わぁぁぁ!!!
やっぱり作るのやめようかな!?



さっきの決意はどこへやら。
不安が一気に押し寄せる。




むにっ

「ふぇっ!?」

鈴原くんに両方の頬を手で挟まれた。


「まーた、何を1人で考えてるん?」


顔が近くてドキドキがおさまらない。




「は、話すから離してぇ…」

「はい、よく出来ました」


手を離してくれた。
こういう所も、桜ちゃんの言うSなんだろうか?




頬が熱くてまだドキドキする。