「おせー」 
 
「鈴原くん!?どうして!?」


「付き合ったんやから、一緒に学校ぐらい行こうや」


家逆方向なのにわざわざ迎えに来てくれたの?
待っててくれたの?


私のための【付き合うフリ】なのに、こんなに優しい鈴原くん。

私勘違いしちゃうよ。



「ありがとう…」

嬉しくて嬉しくてたまらない。




「昨日寝れたか?」

誰かと登校するのもいつ振りかわからないぐらい。


「うん。知らない内に寝てしまってたの」

「それならよかった」


隣から聞こえる優しい低い声。
すごく落ち着く。



「鈴原くん、何型?」

「Oやけど。急になんで?」

「鈴原くんの事もっと知りたいなと思って」


たくさんたくさん知りたい。
【フリ】だとしても、こうして隣に歩ける今を大事にしたい。



「…日和、キスしてほしいん?」


はい!!??

「なんでそうなるの!?」

バカバカ鈴原くん!!
なんでキスに繋がるの!!??



「俺言ったよね。可愛い事言って煽ってたら知らへんで」


そう言う鈴原くんの顔は少し赤く見えた。
身長差で見上げるせいか、本当にキスしてしまいそう。



キス・・・したい・・・



「アホ。はよ行かな遅刻やで」

そう言われてハッと現実に戻る。


今、私何て事を言いそうになったの?





不安なんて1ミリも感じないぐらい、私の頭の中は鈴原くんでいっぱい。