「じゃあ、俺日和送ってくるから」

「私と加藤は同じ方面だから一緒に帰るねー」



「前川!!」

日和が振り向く。


「俺だって守るから!何でも頼れよ!席も隣なんだし!!」


「加藤くん、本当に優しいね。ありがとう」



あぁ〜加藤、勇気出して言ったんやろうに日和には本心伝わってないんやろうなぁ。

不器用やなぁ。


日和と悠が歩いていく。




「加藤って不器用やね」

「なんだよ!急に」

「好きならストレートに言わないと、日和は気づかないよ。超がつくほどの鈍感やし」

「…わかってるよ」



切なそうな表情の加藤を見て、なんだかちょっと心がジリッとした。


「あんた、明日担任に怒られるんちゃう?学校早退して」

「それはお前もだろ!転校早々知らねーぞ」

「なら、私の事も守ってよ。加藤くん♪」

「嫌だね。自分でなんとかしろ」

「つめたー!!」


だんだんと加藤の顔が笑顔になっていって、ホッとした。

まだこの学校に来て数日だけど、色々見えたことがある。



「せっかくだし、カラオケでもいく!?」

「補導まっしぐらか」

「ですよねー」



沈黙になる。


「カラオケは今度行こう」



私はその言葉にははって笑った。



加藤ってほんとにいい奴。



「あんたのおごりね」

「なんだよそれ」


こんな事を言い合いながら歩く帰り道は新鮮で、すごく楽しかった。




私は転校早々、素敵な仲間に出会えたんだ。