放課後の片想い


「あなたは“応援”の意味がわかってたんやね」


少しして、真穂ちゃんがボソッと言った。



「わかってなかったのはあたしの方やな…」



応援…


「なんかさー、パァッと食べない!?辛気臭くなって嫌やわ!」


「え!?さらに食べるの!?」



「こんな時は食べるのが1番やで」


そう言って真穂ちゃんがニコッと笑ってくれた。

初めて見たかも…


「可愛い…」

「はっ!?」



「真穂ちゃんの笑顔、初めて見た気がする。すごく可愛い!!」


「ばっ!!バカ!?アホ!?何言うてんの!」


顔を真っ赤にした真穂ちゃんも可愛くて美人。




「真穂ちゃん、友達になってくれませんか?」


純粋にそう思った。



「…しゃーないね。なってあげるわ」


真穂ちゃんは照れると目を合わせてくれない感じなのかな?

それでも表情は笑っているように見えて、それだけで嬉しい。



「でも、真穂ちゃん食べ過ぎは胃もたれだよ」

「胃もたれってなに?あたし経験ないんやけど」



さすがです。。。




モンブランパフェや追加で頼んだポテトフライを一緒に食べて、しばらくして私は足立くんたちの元へ戻る事にした。


「真穂ちゃん、この後どうするの?」

「会場に親がいるから、今から戻るわ」

「そっか」




席を立とうとした時

「足立って子と付き合ってるん?」


真穂ちゃんからのいきなりの質問。



「うん、そうだよ」



「ふーん。アイツの粘り勝ちかぁ」


ううん、そんなんじゃない。

「私が付き合って欲しいって告白したから。こんな私にずっと優しくそばにいてくれる人なの」


色んな姿をたくさん見せたのに、変わらずずっとそばにいてくれる人。




「アイツの事好きなんや。ちゃんと」


「うん!!」



大好き。



「そんな風に笑えるなら大丈夫やね。お幸せにね」


ヒラヒラと手を振る真穂ちゃん。


私も手を振って足立くんたちの元へ向かった。






「悠くん…ほんまにええの?」

あたしには言えなかった。
あなたの気持ちを。

あの笑顔を見たら。




———————————

「日和ー!あの女になんかされてない!?大丈夫!?」


「大丈夫だよ、桜ちゃん。真穂ちゃんと友達になったよ」

「はぁぁ!?なんでーー!?」


私はさっきの話を軽く話した。
真穂ちゃんが鈴原くんに告白した事などは話してない。



「まぁ日和らしいな」

私の頭を撫でる足立くん。


「うん、前川らしいよ」

「私が様子見るからね!!」



“友達になって”

勇気を出して真穂ちゃんに言った。



言えてよかった。




【彼女おるから】


なんだか、真穂ちゃんに聞いた鈴原くんの言葉が頭をリピートする。


私、彼女だったんだよね。

その事実は変わらないよね。




ヴーッヴーッ


テーブルに置いていた私のスマホのバイブが鳴った。



「鈴原くん!!」

「嘘!!出て出て!!」


あ、なんか手が震える。

結果出たんだよね


緊張する。



私は深呼吸をして、電話に出た。




「もしもし」

「日和?結果出たよ」

「うん…」



ドキドキドキドキ

みんなも緊張してる。
表情を見ればわかる。




「2位やった」


えっ……


「すっ…すごい……」


「1位は無理やったから悔しいんやけどなぁー。でも俺なりに精一杯出来たかなとは思ってるんやけど」


「……………」


「…日和?」


だめだ、我慢出来ない



「す…すごすぎるよ、鈴原くん…。本当におめでとう…」


涙が溢れて流れ出す。


「日和…泣いてるん?」


優しい声。


こんな時に心配かけちゃだめ。



「みんなに言っていい?ていうか、変わるね!」


私はスマホを足立くんに渡した。



「鈴原くん、2位だよ!!!」



私が急に泣き出したから心配してたみんな。
だけど、結果を聞いて全員ハイテンション。


カフェなのに大声を出してしまって、後から謝った事は言うまでもない。