ピンポーン…

そんな会話をしていると、インターホンが鳴った。


「あれ?足立さんじゃん」


ドキッ!!!

迎えに来てくれるんだった!!

今頃になって、お母さん達に誰と行くか誤魔化していた事が無駄だった事だと知った。



「友達…ねぇ〜……」

そう言いながら玄関に向かっていったひなちゃん。



「相変わらず日和が大好きなんだから、日向は」

お母さんは相変わらず笑っている。


今から足立くんとお祭り。
急にすごく緊張してきた。


「楽しんでらっしゃい。足立くん、必ず日和を大切にしてくれる人よ」


お母さん。


「うん、ありがとう。楽しんでくるね」


私は玄関に向かった。



「足立くん、わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます」


「日和……」


足立くんはパッと俯いてしまった。


「どうかしましたか!?」

「あっ…ごめん。可愛すぎて……」

よく見ると顔が真っ赤の足立くん。
そんな足立くんを見て私まで赤くなる。



「何イチャついてんの?」


「え!?何言ってるの、ひなちゃん!!」

「俺も行こうかな、お祭り」


グイーッ

「いてー!!!」

ひなちゃんの耳を引っ張るお母さん。


「あんたはお母さんの手伝いするか、友達と行きなさい」



ムスッと膨れてるひなちゃん。


「お母さん、ひなちゃん行ってきます」

「行ってらっしゃい♪足立くん、日和をよろしくね」


「はい。もちろんです」


私と足立くんは家を出て、お祭りに向かった。




少しの間続く沈黙。


なんだかすごく緊張して、何を話せば良いのかわからない。



「なぁ日和」

「はっはい!!」


そんな沈黙を破ったのは足立くん。



「マジで可愛すぎるんだけど。絶対俺のそば離れるなよ」


カァッと顔が赤くなるのが自分でもわかる。


「変な虫、絶対寄ってくる」

「私なんかにそんな事ないですよ」

「日和だからあるの」


グイッ


「だから、手を繋いでもらえますか?」


ドキンドキンッ


繋いだ手から伝わる温かさ。



「もちろんです」



今までの関係とは本当に違うんだって少しずつ実感していく。



「屋台出てるかなぁ」

「りんご飴食べたいです」

「いいね。それ買お」



足立くんが隣で笑ってる。


それがこんなにも嬉しい事なんだ。



「えへへ」

「なに?」

「なんでもありません」


セミの声が響く夕方。

まだ日差しもキツくて暑い。


私は、とても幸せで泣きそうになった。